COLUMN No.6

工場見学のご案内



実は、年々工場見学の問い合わせが増えてきています。みなさんが製造の現場に関心を抱いてくださることがとても嬉しく、より遠州木綿を楽しんでもらえるようにと、私たちは数年前から工場見学を開いています。

池沼織工房には機織りをする「機場(はたば)」、その前工程の作業をする「作業場」、生地や雑貨が並ぶ「直売所」がありますが、綛上げ・管巻き・経通しをしている作業場は直売所に併設しているので、『作業場見せて!』と気軽にお声かけください。

ただし機場のみ、織機が稼働している中での自由見学は危険を伴うため、事前にご予約をいただき下記の通りご案内をしています。

 

工場見学「あなたの知らない遠州木綿の世界」


機場を見学しながら、遠州木綿の世界をちょびっとマニアックにご紹介します。遠州木綿はこれまで浜松でどんな風に作られてきたのか、時代とともにどんな進化をしてきたか、縞の持つ意味、生地の特徴や職人のこだわり、製造工程の見学など、様々な切り口から遠州木綿についてご案内します。

【所要時間】120分程度
※ご希望に応じて変更可。お子さまと参加される場合は、時間や内容を簡単にするなどの配慮をしております。

【対  象】小学5年生以上

【定 員 数】10名まで(2名以上で催行)
※ただいまコロナの影響により、定員数を4名様までとしております。

【料  金】2,000円/おひとり

【持ち物・服装・注意事項】
〇 機場には冷暖房がありませんので、温度調節できる服装でご参加ください。
〇 工場内は機械油を吸った綿ぼこりや、油のついた部品がむき出しになっている箇所がありますので、汚れてもよい服装・歩きやすい靴でお越しください。
〇 機械への巻き込みを防ぐため、紐の長いものや、ヒラヒラしたスカート・スカーフ等は避け、見学中は十分ご注意ください。

これまで、ご家族やお友だちとのご旅行に、被服の専門学生が課題研究に、親子でお子さまの自由研究に…など、たくさんの方が訪れてくれました。

どうぞ、お気軽にお問い合わせくださいね!





 
 

COLUMN No.7

よくあるご質問(FAQ)



これまでに寄せられたお問い合わせをまとめました。

 

千織の木綿の特徴について


Q. 表裏はありますか?

A. 糸の状態で染色をする「先染め」かつ「平織り」なので表裏はありません。
反物で保管した際は、一般的に使用面が保護されている内側を表としますが、当店では反物の状態で長期保存をしておりませんので、お好きな方を表としてお使い下さい。


Q. 耳はありますか?

A. 小巾のシャトル織機で織っているので、両端に耳がついています。


Q. 厚みはどの程度ですか?

A. 他産地の小巾木綿と比較すれば、オンラインストア掲載の品は全体的に薄手だと言えますが、「あじろ」や「遠州縞」に比べて「ネップ&スラブ」や「みぞれ」は若干厚手になります。
肉厚な生地がお好きな方には少し心許ないかもしれませんが、ふわりと軽くて身体に馴染む心地よさが魅力です。
生地の厚みを知りたい方は生地サンプル請求(無料)をご利用ください。


Q. 色落ち・色移りはしますか?

A. 一部商品を除き、色落ち・色移りの心配はありません。
ただし、日光に長時間当てると褪色しますので、長期間日の当たる場所での使用や保管にはご注意ください。
なお、藍染めや草木染めなど、取り扱いに注意が必要なものを販売する際は、商品ページでご案内致します。


Q. 広巾の取り扱いはありますか?

A. 生地巾はどれも36~45cm程度です。
織機の構造上、ヤール巾や広巾は織れませんので何卒ご了承くださいませ。


 

扱い方について


Q. 水通しは必要ですか?

A. 繰り返しお洗濯をして使う場合や、縮みが気になる場合は水通しをお勧めいたします。
詳しくは水通しのご案内ページをご覧ください。


Q. 生地を水に浸けたら少しぬるっとしたのですが?

A. 水通しの最中、糸についた糊が溶け出して水が濁ったり、生地がぬるっとすることがありますが、品質に問題はありません。


Q. 一度に数柄購入したのですが、水通しは個別にした方がいいですか?

A. 千織の木綿は水に浸けることで色落ちしたり、他のものに色移りしたりしませんので、まとめて水通しができます。


Q. 水通しの代わりに洗濯機で洗っても良いですか?

A. 生機(きばた)の場合は糊が溶け出すことがありますが、差し支えなければ洗濯機で洗っていただいても結構です。


 

仕立てや着物について


Q. 着物を作ることはできますか?

A. はい。詳しくはお誂えページをご覧ください。


Q. 着物を仕立てる際に、細かな寸法の指定はできますか?

A. はい。いただいた寸法の通りに仕立てますので、ご自身の寸法をお持ちの方はお知らせください。
なお、ご自身の寸法をお持ちでない方は、身長・バスト・ヒップ・裄から各種寸法を算出して仕立てております。
「自分の体型に合った寸法が知りたい」など、より詳細なご相談については対応致しかねますので、ご了承くださいませ。


Q. 着物以外の仕立てはできますか?

A. 羽織や上っ張り、作務衣など、様々な仕立てのご相談をいただきますが、着物と半巾帯以外のご注文は現在は対応致しかねます。
力不足にて恐れ入りますが、何卒ご了承くださいませ。


Q. 仕立てた着物は洗えますか?

A. 千織の木綿は、ご自宅の洗濯機で気軽にお洗濯できます。
着物の場合は、洗濯機の中で絡まってしまうと縫い目が傷むので、畳んだままネットに入れてお洒落着洗いのコースで静かにお洗濯するのがお勧めです。
汚れが気になる部分は固形石鹸で落とします(生地自体は丈夫なので、強くこすっても問題ありません!)。
脱水は短時間にし、しっかりとシワを伸ばして干すと、着物自体の重みでもシワが伸びてアイロン掛けせずとも着られます。
乾いたときに多少のシワが気になれば、その時は高温で気になるところだけアイロンがけすればOKです!


Q. 遠州木綿の着物はいつ着るものですか?

A. 一番心地よく着られるのは春と秋ですが、真冬に着込んで着られる方、夏に一枚で浴衣のように着られる方もいらっしゃいます(私は暑がりなので、夏はお勧めしませんが…!)。
お住まいの地域の気候や、着方、暑い寒いの感じ方には個人差があり一概には言えませんが、普段着ですから無理なく心地よく着られればいつ着ても構わないと思っています。


 

その他のお問い合わせ


Q. 現物をみて購入を検討することはできますか?

A. 千織の商品画像は、できる限り実物を忠実に再現するよう心がけていますが、ご覧いただく環境によっては、写真と現物の色が多少違って見える場合もございます。
また、写真ではお伝えしきれない部分もありますので、お客様に安心してお買い物していただけるよう、生地サンプル請求(無料)サービスをご用意しています。
サンプルのサイズは生地巾(40cm前後)×8cm程度で小さいものですが、生地の厚みや手触りなどの参考にお役立てください。


Q. 店舗はありますか?

A. 作業場の一角を店舗としてご覧いただいております。
日頃は工場で作業をしておりますので、ご来店のお日にちが決まりましたらお知らせいただけますと助かります。


Q. 商用利用は可能ですか?

A. はい、可能です。ただし、時折作品の問い合わせが弊社に寄せられることがあるため、「遠州木綿を使用した、個人の製作物であること」が分かるよう、明確に記載いただきますようお願い致します。


Q. 卸販売はしていますか?

A. はい。お問い合わせよりご連絡ください。


他にご不明な点がありましたら、お問い合わせよりご連絡くださいませ。



 
 

COLUMN No.8

10日連続生地紹介チャレンジ!!



コロナの影響で状況が一変した2020年夏、蒸し暑い工場の中で大汗をかきながら作業をしていたら、何か楽しいことがしたいという欲求がふつふつと湧きあがってきました。

生地に囲まれた部屋でお茶をしながら話に花咲く日常が恋しくなり、Instagram上で生地をご紹介することでみなさんとお話ができたらとの思いで企画したのが10日連続生地紹介チャレンジです。

「コロナ禍でも楽しく!」を合言葉に掲げたこの企画は既に終了しましたが、池沼織工房の生地をより楽しんでいただける内容になりましたので、こちらに再掲載しておきたいと思います。

 

「個性豊かな縞たち」





池沼織工房では半世紀も昔の織機が現役で動いていますが、手織りの機に動力が付いたような最も原始的なそれは、ヨコ糸を運ぶシャトルがひとつしかなく、平織の縞と無地しか織ることができません。そのような制約の中で、様々な色や種類の糸を駆使して出来る限りの趣向を凝らしているのです。

そこでとりわけ注目して貰いたいのが、生地巾全体で一つの縞になる柄。こういったものは通常の製造工程に一手間加えなければならず、各工程が分業制の遠州地域では倦厭されがちなところ、こだわりをもってチャレンジしています。

柄の使い方によって雰囲気が変わるため、十人十色に楽しめる個性豊かな縞たち。存在感があってカッコイイでしょ?

 

「ロクソウ」





ロクソウとは、この生地の経糸に使用している「60番双糸(ろくじゅうばんそうし)」のこと。池沼織工房の遠州木綿は、そのほとんどが「単糸」を使用していますが、ここはあえて「双糸」で織った生地に注目してみたいと思います。

さて、単糸とは文字通り一本の糸。綿の繊維を引きながら撚りをかけたものです。そして、双糸は二本の糸を撚り合わせて作られたもの。両者、同じくらいの太さの糸を並べてみるとさほど違うようには見えませんが、これが生地になると全っ然違うんです。

単糸で織った生地は、ふんわりと軽く、ラフで柔らかな風合いに。双糸で織った生地は、丈夫で滑らか、コシがあります。実際にその違いを見比べた方の中には「絹織物みたい」なーんて感想をこぼした人もいるほど(さすがに絹ほどしなやかではありませんが)、若干の艶と高級感のあるロクソウシリーズのご紹介でした!




▲ ロクソウ グラデーション赤紫お仕立てイメージ

 

「夏は綿麻」





池沼織工房の生地はすべて綿100%と思うなかれ。実は麻や竹などの素材も扱っており、ここでは爽やかな夏色の綿麻生地をふたつ選んでみました。ヨコ糸に麻を使った、ハリとシャリ感のある生地です。

では、ちょっと柄に注目してみてください。なんだか線が滲んでるみたいじゃありませんか?実はグラデーションに染めた糸を散らして、夏山の早朝の空気を匂わす、霧のかかったようなデザインにしているんです。

素材・色合い・柄ともに夏のおすすめ、スカートやワンピースなどのお洋服にいかがでしょうか!




▲ 経糸に使用した青のグラデーション

 

「絣(かすり)」





絣とは織物の技法のひとつで、本来絣糸を使って文様を表すものですが、池沼織工房ではこの絣糸を使って織った生地を「絣」と呼び分けています。遠目からは一見無地のようですが、近づいて見ると無地とも縞とも異なる豊かな表情がありますね。

ここではバリエーション豊かな絣シリーズの中から、男女問わず粋に着られる3柄をピックアップしてみました。着物に、洋服に、作務衣にもどうぞ♪




▲ 管巻きした絣糸

 

「伝統の藍染め」





池沼織工房の藍染め生地は、もんぺや祭りの衣として暮らしに寄り添い、長く愛用されてきた歴史があります。ところが、一時はかなりの生産量があったそれも最近では影を潜め、年に数機織るのみとなりました。

昔は生地の厚みを重さで表し、両側の縞は二貫六百、中心の無地は三貫と呼ばれてきました。一反の長さや生地巾が変わった現在では多少異なりますが、中心の無地は両側の縞に比べて肉厚でずっしりと重く、祭り半纏や作務衣などに適しています。

池沼織工房では徐々に貴重なものとなりつつある藍染め生地ですが、そんな今だからこそあらためてご紹介。ジャパンブルーはいつの時代も私たちを魅了してくれます。




▲ しっかりと目が詰んでいて肉厚

 

「桃色LOVER?」





10日連続生地紹介チャレンジも折り返し地点。息抜き兼ねて、分かりやすく「桃色」の生地をピックアップしてみました。
長々とした説明なんてナシナシ!ピンクはいつでも女性の味方♪

 

「大正」





大正の時代に着られていたような柄を復刻した、大正シリーズのご紹介。(前回からの振り幅がスゴイ。笑)

池沼織工房の生地は色柄が豊富なので、それらがズラーっと並んでいるとあまり注目してもらえないこの子たち。ところが、着物や洋服になるとこれが渋くてカッコいいのですよ。

生地だけ見ていると地味ぼったく感じますが、柄によってはいろんな種類の糸がちりばめられているので、想像以上に乙。今後はこの大正シリーズを再び充実させようと、現在いろんな柄の復刻を計画中です!お楽しみに〜♪




▲ いろんな種類の糸を贅沢使い!

 

「のんびり秋支度」





猛暑日が続く中でピンとこないかもしれませんが、2020年の立秋は8月7日。暦の上ではもう秋なんですね^^;

そこで、ほんのり秋を意識して生地を選んでみました。お着物やインテリアなど今のうちから準備をはじめれば、ちょうど出来上がる頃にいい季節を迎えられるのではないでしょうか。

 

「新作発表!」





池沼織工房は常に創作意欲満々!オンラインストアへの掲載が追いつかないほど、多いときでは月に2、3の新色や新柄が登場しています。

時には、特殊な糸が手に入らなくて一度きりしか織れない、なーんて生地も。まぼろし〜!ここでは最近のスポット3柄をご紹介しましたが、次はどんな生地ができるかな?

 

「クライマックスは…」





10日連続生地紹介チャレンジもいよいよ最終日を迎えました。クライマックスは「花火」という名前の生地で締めくくりたいと思います。

我が家の近所では7月になると毎晩、盆踊りやお囃子の練習が聞こえてきます。夏の風物詩として毎年当たり前のようにあったそれらが今年はすべてなくなり、静かな夜は暑さが余計堪える気がします。
そこで思いついたのが今回の生地紹介でした。

こ 個性豊かな縞たち
ろ ロクソウ
な 夏は綿麻
か 絣
で 伝統の藍染め
も 桃色LOVER?
た 大正
の のんびり秋支度
し 新作紹介!
く クライマックスは

「コロナ禍でも楽しく」という思いが、今回10のテーマで紹介した生地を通して、少しでもみなさんにお届けできていたら嬉しいです。

また落ち着いたあかつきには、実物を見に来てくださいね!